TAGO CURRY(タゴカレー) 熊本

人生初の熊本出張で、熊本に来ています。事前によく調べもせずに来てしまったため、ランチを食べる時間がなく、貴重なランチを食べ逃してしまうことになった。実は福岡空港には鉄道が乗り入れていたので、てっきり熊本もそうなのかと……。

大きな勘違いでした。熊本空港に着いてから、電車を探したのですが全く見つからず。13:00からの打合わせなのに、飛行機が30分遅れたこともあり、着いたのが12:00過ぎ。結局電車はないということがわかり、慌ててバスに飛び乗りました。すると車内アナウンスが流れました。

「本日はご乗車ありがとうございます。熊本駅までの所要時間は60分を予定しております。途中の交通事情により……」

ええーーー! マジか!
せっかくランチで熊本のカレーを堪能しようと考えていたのに。飛行機の遅延と空港からの所要時間の読み違えにより、その時間がなくなってしまった。

そして、仕事から解放されたのが夜の20:00頃。せっかく熊本まできたんだ。普段肉はあまり食べなけど、上等な馬刺でも食おう。それから、しめにカレー屋をハシゴでもしようか。流石に馬刺からのカレーのハシゴは厳しいだろうか? 40才を過ぎた自分の胃袋のことを考える。だったら、馬刺、カレー、ケーキで締めるのも悪くない。時間も時間だから、馬刺と1件目のカレー屋を決めて出よう。あとは、胃袋に聞きながらだな。

パソコンで「熊本 馬刺」と検索。色々と出てきたが、地元の人で賑うという『馬肉郷土料理けんぞう』に決めた。カレーは『TAGO CURRY』に。ホテルから出て裏手の大きなアーケード通りを南へ向かう。どうやらこの辺りは、中心街のようだ。初めて訪れる街は、歩いているだけでワクワクする。

けんぞうで馬刺しを食べ終えた私。大体腹5分目というところだろうか。これからメインディッシュのカレーを食べにゆく。問題ない、少なくとも1皿は余裕だ。

けんぞうから歩いて2分ほど。メインストリートから外れた、やや暗くて怪しい感じの路地でTAGO CURRYを探す。スマホで場所を確認しながら歩いていたが、建物を通り過ぎてしまったようだ。今度は注意しながらゆっくりと来た路地を戻る。すると右側の建物の前にひっそりと、TAGO CURRYの立て看板がおいてあった。通りから2階への階段を上ると、廊下の一番奥にしっぽりとオープンしていた。木製のドアに、縦長に取り付けられたパイプ製のノブ。そして、ドアの上にあるTAGO CURRYのネオン。そこには「インド風カレー」と書かれていたが、店構えはスナックの居抜きのようだった。旅先で出会うのカレー屋としては、最高のシチュエーションじゃないか。ドアを開けると、先客がカウンター席に1人だけだった。時刻は21時近い。この時間にカレーを食べにくる客は、多くないのかもしれない。大体飲みに行くと〆はラーメンだから。

店内は7人入れば一杯になってしまう程の広さしかない。カウンター席について、メニューを眺めた。いきなり目に飛び込んできたのは馬キーマカレーだった。どうやらここのオススメらしい。馬か……。トライしたい。でも、今日はもう馬刺しをたいらげてきた。迷った末、野菜とひよこ豆のカレーを注文した。カウンターの向こうにいるマスターは50代前半だろうか。背は高く、やや痩せ型。白毛混じりの短めの髪にメガネという風貌。インド風カレー屋の店主というよりは、サラリーマンにいそうな感じだった。接客は柔らかく、真面目な印象。この人からどんなカレーが出てくるのか楽しみだ。

「お待たせしました」と、カウンターの上にカレーが出てきた。皿を地球に見立てるなら、北極にアーモンドを横にしたような形で、サフランライスの山脈が連なり、それ以外を野菜たっぷりのルーの海が支配していた。地球温暖化により南極の氷がとけ大陸の大半が、海に沈んでしまったような景色だ。ユーラシア大陸はジャガイモとニンジンでなどで形成され、南米はほうれん草がルーに浸りながら熱帯雨林らしきグリーンをアピールしている。そしてオセアニア周辺にはナスとひよこ豆が浮かぶ。その野菜たっぷりの海へ、神の如くスプーンを入れ、一気に海を口へ運んだ。それはとても大人なスパイスだった。インドカレーのような異国情緒は抑えられ、丁寧に作られたオリジナルなスパイスカレーが展開されている。さっぱりとして野菜の甘みが熟成した味は、マスターの人柄を表しているようにも思える。今日1日を締めくくるのにぴったりの味だった。私は、店を後にし、ホテルへ向かった。あー、満足満足。今日はもう十分だ。ハシゴできなかったから、その分は明日へ回そう。明日のランチが楽しみなのであった。

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