小雪の降るアオヤギ食堂は優しいカレーだった。

人生初の富山県への出張。テンションは上向きだ。そして、富山ではどんなカレーと出会えるのかを考えるとさらにテンションが上がる。いつもは、関西方面への出張が多くて、東海道新幹線ばかりだったので、東海道新幹線に乗ると通勤モードになってしまう。実際乗客の大半はビジネスマンだ。一方、北陸新幹線というと旅行へいく感じだ。乗客もこれから温泉へ行きます的なおばちゃんが多い気がする。座席のシートだって、北陸新幹線の方が高級感があり、ややゆったりしているので、ついついくつろいでしまう。

そんなことを考えたり、本を読んでいたらあっという間に大宮から長野まできてしまったようだ。山間部のトンネルを抜けて目に飛び込んできた光景にハッとさせられた。そこは目を細めるほどの白銀の山々だった。しかも、吹雪いている。久々の雪景色に、気分が盛り上がってきた。

富山につい後、すぐにランチを食べて顧客のところへ向かおうと思っている。だから、新幹線内で富山のカレー情報を集めればいいやと考えていたのだがこれがいけなかった。

大宮を出た新幹線はしばらくすると山間部へ入ってしまい、スマホの電波が入りづらい。想定外だった。長野を過ぎると富山までは電波が入らない場所の方が多く、ネットでの情報収集が出来ないのだ。結局、ネットにつながるようになるのは、富山県に入り右手に町並みと日本海が見え初めてからだった。ちなみに雪はまだ降っていないようだ。

そんな状況の中、やっとの思いで探し出せたのがアオヤギ食道だった。富山駅からも路面電車で10分かからない場所にあり、打合せにも遅れることはなさそうだ。富山に降り立った私は空を見上げた。小雪がちらついている。空はどんよりと重く寒い。演歌が似合いそうな状況だ。演歌であれば、これから暖簾をくぐってなのだろうが、私が目指すのはカレーの食道だった。

路面電車の荒町駅を降りると、目の前の通り沿いにアオヤギ食道が見えた。ライトモスグリーンの木製の枠に、大きなガラスがはめられたドアからは店内がよく見える。よかった。すぐに座れそうだ。テーブル席とカウンター席を合わせて15人程入れるだろうか。壁は清潔感のある白で、食堂というよりはカフェとかレストランに近い。

【メニュー】

キーマカレー 900円

きまぐれカレー 900円
(今日は、ほうれん草とチキンのパラクチキン)

あいがけカレー 1,100円
(キーマときまぐれの2種もり)

ともえがけカレー 1,200円
(あいがけ2種と、豆カレー)

ともえがけカレーで、パラクチキンとキーマを選ぶ。白く浅めの丸皿に、三角形にライスが盛られ、三角形の各辺とお皿の隙間にそれぞれのカレーが盛られてやってきた。手前に黄色い豆カレー、右奥にグリーンのパラクチキン、左奥に赤褐色のキーマと、色彩豊かに盛り付けられ、インスタ映えしそうだ。カレーにはスープとサラダがつく。

ほうれん草のチキンカレーは、さっぱりした酸味が喉元を過ぎた後に、ほんのりとほうれん草の香りがやってくる。

キーマカレーは、「カレーはよく噛んで食べるもの」と諭すような、粗挽きにくの歯ごたえのある食感がたまらない。玉ねぎとニンジンの自然な甘みがあり、スパイス主張はかなり控えめなので、辛いのが苦手な人にも食べやすい。

豆カレーは、ココナッツの香りと豆のまろやかな甘みが合わさり、まるでコーンポタージュのような濃厚さを表現している。

アオヤギ食堂のカレーは、スパイス感が控え目で優しいカレーだ。全体的に食べやすくバランスのいい味付けとなっているので、老若男女問わず美味しく楽しめるスパイスカレーだった。

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