普段、カレー屋を探すときは食べログを使うことが多い。
しかし、あるプロカメラマンから直感を大事にするために
食べログを使わないという話を聞いて、
ああ確かにそれも一理あると膝を打った。
先日、午前中人形町でのひと仕事がおわり、
11：30からの次の打ち合わせがある三越前まで
徒歩でて移動していた。ランチをどこで食べようか
考えながら歩いていた。人形町界隈は安くて美味そうな飲食店が多く、
ランチの選択肢も多そうだったが、三越前に近づくにつれ
街の様相もやや変化しオフィスビルが多くなってきた。
「ああ、今日のランチは苦労するかな」とつぶやいた。
頭上を首都高が走る昭和通りからむろまち小路へ入ってくると
まだ、若干だけど昭和の匂いが漂っていた。そして、
何とは無しに通り過ぎようとした右手の赤いレンガを模した、
タイル張りのビルに、黄色い看板でインドカレーフジヤの看板が。
通りから見える店の古びた感じのカウンターは、
インドカレーというよりは、ラーメン屋か定食屋の佇まいだった。
なんとなく、食べてみたい気がする。
よし、今日のランチはここにしよう。そう決めて、まずは打合せに向かった。
打ち合せが終わり表に出ると、小雨が降り出していた。急ぎ足でカレー屋へ向かう。
通りから店内を覗くと、客は50代くらいのサラリーマンが1人だけだった。
コロナの影響なのか、もともと客が少ないのか……。
この状況を、待たずにすぐ食べられるとポジティブに捉えて、店に足を踏み入れた。
カウンターの中に50代半ばくらいのマスターがいて、
1人で切り盛りしているようだ。
メニューは、
Aランチ（ライス、サラダ）、
Bランチ（ハーフライス、ハーフナン、サラダ、タマゴ、豆スープ）
に別れていて、それぞれ
チキン／ビーフ／豆／ヤサイ／キーマから選ぶようだ。
「すみません、Aランチのビーフ、大盛りで」とマスターに告げた。
しばらくして、カウンター越しにマスターがカレーとライスを
持ってきたの、受け取った。ライスの皿にサラダが載っていた。
見た目うまいそうだ。香りもいい。
うまいカレーは、食べる前から香りでわかる。
一口目を口に運ぶ。絶妙な甘みとスパイスの香りが広がった。
遅れて辛さが舌を刺激する。うん、きくー！
一口大にカットされた牛肉は程よい歯ごたえを残しながらも
しっかりと味がしみていてGOOD。
勘を信じて足を踏み入れたかいがあった。
食べログのような口コミサイトがない時代、
美味しい店は、リアルな口コミか行列で知るか、
自分で探すくらいしかなかったのだ。
口コミサイトの点数で効率よくお店を探すのもいいが、
口コミサイトに載らない名店にはたどり着けない。
まあ、東京ではあまりそういた店はないのかもしれないが、
効率化しない楽しみ方というのもたまにはいいものだ。
ちなみに、後で調べてわかったのは、
インドカレーフジヤの食べログ点数は3.75と
めちゃめちゃ名店であった。