正直油断していた。
ビーチ・バムというタイトルからしてロード・ムービーっぽいストーリーを
想像していたけど、良い意味で裏切られた。
不覚にも最後のムーンドッグ(主人公)の行動に涙してしまった。
でも感動でもなく、悲しみでもなく、いったい何?
多分、多くの人が、酒、ドラッグ、SEXのおちゃらけた
エンターテイメント映画だとみるのだと思う。
どういう評価なのか気になったので、口コミサイトをのぞいてみたが
「クズ、下品、犯罪』(高評価)
「ただのパーティー映画」(低評価)
など、けっこう評価は分かれている。
表面的には、ダメダメな節操のない酔いどれ天才詩人の話。
現実にはこんな奴いないだろと思ってしまうが、
実は、チャールズ・ブコウスキーという似たような
はちゃめちゃな作家が過去に実在している。
世の中にそまらない純粋な人間の描きかたが秀逸で、
おそらく監督のハーモニー・コリンは、こういう人間をみてきたのだと思う。
純粋=清廉潔白ではなく、
もっと人の根源的に湧き出す動機に忠実で打算がなく
今に生きている人のこと。
それは時として常識的に生きている人たちを不快にさせたり
不安にさせることもある。
一方で、その純粋な存在感は圧倒的で周りの人たちを魅了してしまう。
わかりやすく例えると、フォレス・トガンプのような人。
その純粋さが違う形で現れているのが主人公のムーンドッグだ。
行き当たりばったり加減は、フォレスト・ガンプに匹敵する。
これは愛すべきダメな人たちの物語だ。