さっきから、阿倍野駅周辺の裏通りをあっちへいったり、こっちへいったりしながら、堕天使かっきーの店を探している。どうやら食べログで地図上に表示される場所が違うようだ。初めて来る場所なので、ただでさえ土地勘がない上に、食べログもあてにならないなんて……。
それにしても、呑み屋が並ぶせせこましい裏路地にはゾクゾクする。ゾクゾクと言っても怖い方ではなく、楽しい方のだ。自分が知らない世界を開拓してく、興奮混じりのドキドキ感とでもいうのだろうか。
そうこうしているうちに、裏路地から大通りへの出口にかっきーの店が見つかった。ということは、大通りに面している店だったのだ。なんだ……。
あっ、カッキーがいた。雑誌で写真は見たことはあったけど、予想通りというか個性的でフレンドリーなかっきーのキャラクターが、その口調から伝わってきた。声高々に客に話しかける様子は、関東の生まれの私からみると芸人のようにも見える。なんというか、この人の存在自体がある意味コンテツ化している。料理もうまいのだろうけど、かっきーに会いに来るお客さんも少なくないに違いない。とにかくいい感じでエキセントリックな存在だ。そして、今更ながら気づいたのは、ここはカレー屋ではなく立ち飲み屋だった。そして、その立ち飲み屋の人気メニューの一つがカレーというわけだ。
関西のノリというか、かっきーのノリというかで常連客と会話をかわしながら、料理を作る。その様子をみながら、頼んだカレーを待つ。どうやら、今日から週末にかけてやっているイベントがあり、週末にそこへ出店するらしい。そして、今日から出店しているカレー屋仲間から売れ行きがすごいと連絡があって、沢山仕込みをつくらなあかん的な話で客と盛り上がっている。楽しそうだ。そうこうしていうるうちに、カレーがだされ、かっきーが説明をしてくれた。今日のカレーは鯛の出汁を使っているとのこととか云々。添えられているご飯も鯛めしだった。あくまで、立ち飲み屋のメニューのひとつなので、量はそれほどないが安い。ご飯だけでもいけてしまうが、鯛出汁のカレーとの相性もよく、酒のつまみにもなりそうだ。さすが大阪のカレーのレベルは高いというか、東京では出会うことのないオリジナルカレーの美味しさに、にんまりしてしまう私であった。