「東京にもあるんだ!」
それを知ったのは、もうやんカレーの名古屋店へ2回目にいった時だった。初めてここへ行ったのは、確か今年の1月に、出張で東京から名古屋へ行った時だった。まだ寒かった記憶がある。私は何処か美味しいランチを頂ける所はないのかと、迷路のような名古屋駅周辺の地下街を彷徨っていた。土地勘が無い者にとってこの名古屋駅周辺の地下は厄介だ。地下街と商業ビルの地下レストランが繋がっていて、地下にいると自分がビルの中にいるのか、地下街にいるのかよくわからなくなる。名古屋駅周辺は、開発が進んでいるようでお洒落なレストラン街がビルの地下に入っている。それが公共の地下通路というか地下街と呼んだらいいのか、とにかくそういう通路と繋がっているのだ。そして、あるビルの地下にあるレストラン街に迷い込んでしまった。そこで偶然出会ったのが、もうやんカレーだった。
ランチはブッフェスタイルのカレー屋さん。ここのカレーは、たまねぎやセロリなど野菜をベースに、オリーブオイル、スパイスをブレンドして作られている。出来上がるまでに2週間もかかるというから、相当な手間暇だ。そのためか、カレーの中には具とよべる具は残っていない。野菜は皆とけてペースト状になってしまっているからだ。それから何が素晴らしいかって、小麦粉が入っていないのだ。グルテンアレルギーの私にとって、とろみ作りに小麦粉が入っている日本式カレーはNGなのだ。一口食べると、いわゆる日本のカレーとは全く違うことがわかる。味は酸味とほろ苦さが同居してフルーティー。そこに自然な甘さとスパイスの辛さが加わり、個性的な味に仕上がっている。だから一度食べたら忘れない、記憶に残るカレーであることは間違いない。
カレー以外にも、サラダバーやチャーハン、焼きうどんなどもあり、腹ペコ男性向きなラインナップなのだが、意外と女性客も多い。その理由は、おそらくアンチエイジングではないだろうか。実はこのお店、カレーというB級グルメの王道でありながら、健康志向なお店なのだ。店内の貼り紙や、カレーに振りかけるスパイスとかゴマの容器に「抗酸化作用」とか「アンチアイジング」という言葉が、ことさらに強調されている。故に、客層としては健康志向女子と腹ぺこ男子という、一方はカフェで、また一方はラーメン屋でよく見かける、異なる生態系に属する者同士が見事に交差しているのが面白い。
初回の訪問からひと月後、再び名古屋を訪れた時、またもうやんカレーが食べたくなり、お店を探したんだけど、全然見つからなかった。名古屋駅東口周辺のビルの地下だったことは覚えていたので、しばらく周辺のビルを出たり入ったりしながら探しているとようやく見つかった。あとで考えたら、スマホで探せば早かったのにと思う。そして、この2回目のときに本店が西新宿店であることが分かり、必ず東京で食べることを誓ったのであった。
昨日その念願がかなった。やっとここへ来ることが出来た。もうやんカレーの西新宿店。当たり前だけどカレーの味は同じだ。お店の雰囲気も同じ。強いて言えば、名古屋にはいなかった外国人の観光客らしきお客さんがいた。アンチエイジングなカレーを食べたくなったら、またここへ来よう。