新大久保の半月は裏切らなかった。

真夏の曇り空。新宿駅からねっとりとまとわりつく都会の空気をかき分けながら歩いている。シャツが背中にくっついている。あちーぃ。どこへ向かっているんだ俺は……。そうかSPICY CURRY 魯珈 のカレーを食いにいくんだった。今頃気づいたが、google mapでみると新大久保駅の方が近かった。

店の前まで来た。人気がない。なんと受付リスト終了的なことが張り紙に書いてある。まじか、ここまできて。しかし、人気店で入れないのはよくあること。すかさずプランBに変更だ。

What’s plan B ?  それは、すぐ近くにある半月だ。もう汗がとまらない。早くクーラーのある店内へ入りたい。信号をわたってgoogle mapに従い半月へ。お! 運良く席が空いたようだ。並ばずに店に入る。はーぁ涼しい! って、あれ? あまり涼しくない。椅子に座るが、太ももにパンツが張り付く感が半端ない。気持ち悪い。期待した私がバカだった。不幸の源は期待からだ。「きっとこうだろう、こうあって欲しい」。そうやって人は期待をする生き物だ。自分本位で勝手に期待をして、裏切られた時に勝手にヘコむのだ。言い方を変えれば、期待は”こうあって欲しい”という人間の欲でしかない。つまり期待とはエゴなのだ。言い過ぎか? さて、話をカレーに戻そう。もはやインドにいると思おう。ここがインドなら、店にクーラーなんてないのだ。暑くて当たりまえ。もはや、汗をかいて気持ちいいくらいだろう。

メニューは、ペッパーチキン780円と”マーラーマトンキー”780円 ってこら! 最後にマが来ないのか。なぜそこで切る! キーマじゃないのか? そうやってここでも期待を裏切るのか。そして、2種盛り980円。安い。

「すみまっせん。2種盛りの大盛りで」と注文をする。

しばらくして、カレーがやってくる。早速味見から。まずはスプーンをペッパーチキンへ入れ、シャバシャバのルーを口へ運んだ。口の中に広がるチキンとスパイスの香り。辛さとスパイス感はまろやかだ。チキンの肉汁とスパイスの絡みがよくバランスのいい味に仕上がっている。ライスとの相性も抜群にいい。実に旨い。

マーラーマトンキー(マ)は、野趣溢れるマトンの香り。カルダモンをそのまま噛む。口の中に広がる青い草原。ガリっ噛み砕いたあとに来る青臭くピリリと痺れる山椒の刺激。おっとなんだこの硬くて大きいスパイスは……。ゴリゴリ。この特有の甘い香りは、スターアニス(八角)だった。

この味と寮にして、この値段はかなりのコスパのよさ。カレーの方は期待を裏切らなかった。ちなみにミールスのように混ぜるよりも、最後まで別々に味わう方が食べ方としては合っている気がする。

ごちそうさまでした。

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