メニューがかわいいアダムラスビー。味は本物です。

日本のリトルインディア!? 西葛西がそう呼ばれているとある『東京人』という雑誌で読みました。政府の方針で、1990年代にインドから日本へITエンジニアがたくさんやってきたそうです。彼らの多くは、大手町や日本橋にある日本の大手金融企業で働き始めました。この金融の中心地へ電車一本で通える東西線沿線の西葛西駅周辺に、インド人エンジニア達が住み始めたことから、いつしかリトルインディアと呼ばれるようになったとか。

そこで私は考えました。日本のリトルインディアと呼ばれるということは、そこにはきっと旨いカレーがあると。そんな訳で、週末に妻と千葉へ出かける用事があり、その帰りに2人で夕飯を食べようとやってきました。西葛西駅の北口をを出て徒歩3分程で、お目当のアダムラスビーを見つけました。近くにスパイスマジック カルカッタという名店もあるのですが、今日は駅から近いアダムラスビーを選びました。店舗はビルのB1フロアにあり、通りからは若干見えづらい場所にあります。とても急な階段を降り店に入ると、スパイスの香りが漂ってきました。インド感満点です。数人の日本人の客がカレーを食べています。テーブルにつき早速メニューをチェックします。

ナンが好きな妻は北インド料理セットを頼み、ナン(小麦)が食べられない私は、南インド料理セットのプーリ抜きを頼むことにしました。

金属の丸い大きなプレートに、カレー2種、サンバル、ラッサムなどが盛られやってきました。南インドのティルバンナーマライで食べたカレーを彷彿とさせる香りがテーブルを包み込んでいます。自分の顔が笑顔になっていくのがわかります。さてその味はいかがでしょう? スプーンを投入します。ああ、インド旅行の数々の場面が脳裏に蘇ってきました。久々のトリップカレーです。私は、旨い料理には2つの種類があると思います。一つ目は、料理の味そのものが旨いかどうか。二つ目は、その味が素敵な記憶を呼び起こしてくれるかどうかです。ここのカレーは後者の方です。味と香りはもちろんですが、そこにインドの“気配”を感じさせてくれるカレーは、他ではあまりお目にかかれません。

そんな味の余韻に浸っている私を現実に引き戻したのは、クスクスという妻の楽しそうな笑い声でした。

「見てこれ。ナンご飯とカレーお代わり大丈夫。ソフトドリンクお代わり大丈夫」

それはSpecial Party Menuに書かれた日本語の説明でした。どうやらメニューに書かれている“大丈夫”という表現が可愛らしいらしく、妻のツボにはまったようです。確かに、冷静に読んでみると、メニューに“大丈夫”という表現を使う日本人はあまりいません。海外の方ならではの表現が微妙に笑いを誘います。

さらに、このタージマハールビールの説明も……。

「3つのタージマハールビールを飲みなさいって客が命令されてるよね(笑)」

「しかも、第4のビール無料の、第4てって気になる」

それから、写真で説明している「1本+1本+1本=1本無料っても計算あってない」

もちろん言わんとしていることはわかりますが。

というわけで、味は文句なしのインドカレー。おまけにメニューが可愛いアダムラスビーでした。

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