明け渡す

渋谷駅のデパ地下に、
ラ・テールというパン屋さんが入っています。

本店は世田谷の三宿にあって、
昔、その近所に住んでいたことがあり、
よく通っていました。
ここは、素材に気を使っているので、
安心して食べられます。

私は、2日か3日に一度、仕事帰りに、
渋地下の店舗へ、朝食用の食パン
6枚切りを買いに行きます。
この日は、時間的に遅かったのか、
6枚切りが、残り一つだった。
ギリギリ、最後の一斤をゲットし列に並んでいました。

この渋地下の店舗は、
場所の都合上、ケーキ屋さんと同じように、
ショーケースの中にパンが並んでいて、
買いたいパンを、店員さんに伝え、
順番にレジに並ぶシステムです

列に並んでいると、
なんかモジモジした、
背の小さい華奢な感じの、
女性っぽい男性が、私の前に入ってきた。
髪は金髪で、やや薄くなりかけている。
40代後半といったとこだろうか。
服飾関連の仕事をしていそうな格好で、
その仕草から、女性寄りの
方かもしれないと思った。

この店の仕組み上、頼んだ人から
列に並んでくので、既に何か頼んでいたんだなと
この時は思った。

そして、その男性の会計の番になったところで、
6枚切りの食パンと追加でメロンパンの
会計をしていることに気づいた。

あれ?
その食パン、最後の一斤だった
私のじゃないかな?と
嫌な予感が脳裏を過ぎります。

一瞬、口を挟もうかと思ったけど、
でも、前の男性も平然と買っているし、
たぶん私のは、次に出てくるのだろうと
流れに身を任せてみることに。

そして、私の会計の番が回ってきた。
すると、「こちらでよろしいですか」と
確認されたのは、食パンでは、なかった。
私の中では、さっきのが自分のだったんだと、
この時点で、確信に変わっていた。

どうやら、品物を間違えられてしまったようだ。
というより、本来私の順番のところへ、
一人割り込んできたので、
順番がくるって当然です。

ラスト一斤だったので、代わりのものもない。
それにしても、買っていった本人は、
オーダーしていない食パンに、
違和感を感じなかったのでしょうか?

んーー困ってしまった。
店員さんも、すみませんといっている。
でも、子供達の明日の朝食が・・・。
どうしようと考えていたら、店員さんが、
6枚切りのハーフが2セット
残っていいるのを見つけてくれた。

結局、ハーフ1つ分の値段で、
もうひとつをサービスしてくれたので、
少し得することとなった。

災い転じて福となすというが、
何か、釈然としないものが、
胸のあたりにつっかえています。
まあ、なんとか流れに
逆らおうとするのをこらえ、
サレンダー(明け渡す)した結果、
身をもって体験することができたので、
これで良かったということにしよう。

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