もう店名だけで、生唾が出て来てしまうのは私だけだろうか? バングラデシュの地方料理だときく。神田駅からすぐの飲屋街。路地裏にある民家の一階が改装された店舗。ランチにはすでにサラリーマンのおじさんが並んでいた。そういう私もサラリーマンだが。並んでる人の隙間から、店内を除くとカウンター5席だけだった。とても狭く、やや薄暗い。
<本日のランチメニュー>と書かれた看板には、ベンガル風マトンカレー、プラオライス、サラダ、野菜バジが900円と書かれていた。野菜バジって? まあいい。とにかくランチメニューは1品だけらしい。一球入魂な感じが素敵だ。
やっと順番がきて店に入れた。席につくなりマスターが言う。
「すみません。今日はマトンが終っちゃったんでチキンでいいですか?」と。
「大丈夫ですよ。」
狭いカウンターの中で、マスターは料理をしている。しばらくしてやってきたのは、丸い白のプレートにのってやってきた、料理だった。黄色のプラオライスの上に、大き目の骨付きチキン。そこにカレーがかかっている。カレーのルー自体はそれほど多くなくカレーライスというより、チキンに多めにかけられたカレーソースのような量だ。そしてプラオライスの脇には四方にサラダや漬物、コリアンダーが添えられていた。見た目からして旨そうだ。
よく煮込まれたチキンは、とても柔らかくスパイスカレーとの愛称もとてもいい。そして幾つかの副菜を一つの皿の上で混ぜながら食べるスタイルが、おそらくベンガルスタイルなのだろう。チキンの旨み、スパイスの香り、副菜の酸味とシャキッとした食感。いくつもの食材とスパイスが折り重なり、お皿の上で別のスパイス料理に仕上がっていくのだ。これがたまらなくいい。
バングラディッシュまでいかなくても、神田にくれば旨いベンガルカレーが堪能できるのだ。是非一度味わって頂きたい料理だ。